ここでは海外通販で個人輸入をする時にかかる関税について解説します。
海外の商品を購入する場合には、消費税だけでなく関税が課せられます。
関税は購入する商品の種類や、商品の金額などによって金額が異なっているので複雑です。
そんなややこしい関税について、具体例も使ってわかりやすく解説していきます。
しい関税について、具体例も使ってわかりやすく解説していきます。
海外通販でかかる関税について知りたいという人は、ぜひ参考にしてください。
海外通販でかかる税(消費税・関税)
個人輸入する時には、「消費税」と「関税」がかかります。
消費税は普段国内で買い物をする時に払っているのと同じように8%の税率がかかります。
海外通販などで商品を輸入する時には、消費税に加えて関税という輸入品にかかる税金も課せられます。
消費税
商品を購入するときには、商品の代金とは別に消費税がかかります。
この消費税は海外から商品を輸入するときにも、普段国内で買い物をする時にかかるのと同じように8%の税率がかかります。
消費税は商品の価格に対して8%の税率が課せられているので、100円のものを購入した場合には8円、1000円のものを購入すれば80円かかります。
商品の代金といっしょに支払った税金は、お店を通して税務署へ送られます。
こうして私たちは普段の買い物や外食などによって消費税を国に納めています。
この消費税は、海外から商品を輸入する時にも同じように適用されて支払うことになります。
関税
関税とは、海外から商品を輸入する時にかかる税金のことで、海外の通販サイトで商品を購入する時にもかかります。
関税は食品や衣類など、購入する商品の種類によって異なっていて、また商品の金額などによっても金額が変わってくるので複雑です。
そんな関税について、関税とはどんなものなのか、関税の金額はどのように決まるのかなど、わかりやすく解説します。
個人輸入・海外通販に関税がある理由
関税がある理由は、安い外国の製品から国産品を守るためです。
外国産の安い食べ物や安い自動車部品などの安い外国の製品を、日本で安い価格のまま販売すると、消費者は高額な国産品を買わなくなってしまいます。
そうなると、日本の企業の商品が売れなくなってしまい、日本の会社が次々潰れてしまうので、日本の雇用がなくなってしまいます。
このようなことにならないよう、外国から輸入する製品には税金をかけて高くしています。
このように関税は日本の産業を守るためにあるのです。
関税はどう決まるのか
関税にはルールが決められていて、関税の金額はそれに従って決定されています。
商品の種類・輸入する国・使う目的によって関税の金額は決まります。
商品の種類
どんな商品を輸入するかによって関税の税率が変わります。
それぞれ食品や衣類など種類によって細かく分かれていて、衣類だけでも材質や織り方によって変わります。
例えば羊毛であれば「羊毛の重さが全重量の85%以上のもの」という基準が決められていて、この税率は3.2%です。
関連記事:アメリカの重さやユニットに関して
輸入する国
同じ製品であっても輸入元の国によって関税の税率が変わります。
「自由貿易協定(FTA)」や「経済連携協定(EPA)」、「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)」などの貿易を自由にしたり円滑にする協定を結んでいる国同士であれば、税金がかからないこともあります。
例えば、毛皮付きの時計の基本の関税が40%であっても、「経済連携協定(EPA)」を結んでいるマレーシアやタイ、チリなどの国から輸入した場合には税金がかかりません。
使う目的
輸入した商品を使用する目的によっても税率が変わります。
販売目的で輸入する場合には通常の関税がかかりますが、個人で使用するという目的で輸入する場合には、通常よりも少ない関税で済みます。
関税計算方法
関税は以下の計算方法で求められます。
課税対象額 = 商品代金×60%
関税額 = 課税対象額×関税率
例えば20000円の傘を輸入する場合には
課税対象額=20000円×0.6(60%)=12000円
傘の関税率は6.4%なので
関税額 =12000円×0.064(6.4%)=768円
このように20000円の傘に課せられる関税は768円となります。
免税措置
免税措置とは1万円以下の商品が免税になるというルールです。
免税措置では、課税対象額の合計が10,000円以下の場合は免税となるので関税や消費税はかかりません。
つまり、海外から輸入する商品の価格が16,666円以下の商品であれば免税の対象になります。
この免税措置は、個人輸入で個人が使用する目的である場合に適用されます。
ここで2つ注意点があります。
1つ目の注意点は、免税措置は購入した金額の「合計」に対して適用されるということです。商品1つではなく、一度に同梱される商品の合計金額が16,666円以下である必要があります。
2つ目の注意点は、免税対象外の商品もあることです。
履物、編物、革製品など免税措置の対象外である商品は16,666円以下であっても免税になりません。
総額20万円以下の貨物の簡易税率
簡易税率は課税対象額が20万円以下の場合に適用されるもので、以下の表のように簡単に税率が決められています。
個人輸入する場合には、商品の合計額は20万円以下であることがほとんどだと思うので、基本的にこの簡易税率を適用させましょう。
簡易税率表
簡易税率の対象外である商品もあります。以下の表にある商品は20万円以下でも簡易税率は適用されずに、一般税率が適用されます。
一般税率が適用される商品
- 米などの穀物とその調製品
- ミルク、クリームなどとその調整品
- ハムや牛肉缶詰などの食肉調製品
- たばこ、精製塩
- 旅行用具、ハンドバッグなどの革製品
- ニット製衣類
- 履物
- 身辺用模造細貨類(卑金属製のものを除く)
20万円以上の一般税金
課税価格の合計が20万円以上である場合や、簡易税率が適用されない商品には一般の税率が適用され、以下の表のようになります。
上記でご説明したように、一般税率はかなり細かく分かれていて、商品の種類・輸入する国・使う目的などによって大きく変わります。
またこの表の関税率がそのまま適用されるとは限らないので、目安として参考にしてください。
または、「WEBタリフ」という便利サービスも使いのも一つです。
関税は誰に支払うのか
関税を支払う先は、日本の税関です。
関税は海外のお店や海外の税関に支払うのではなく、日本の税関に支払うことになります。
関税の支払い方法
関税はどのように支払うのか、関税の支払い方法についてご説明します。
個人利用目的で海外のお店から個人輸入した場合の支払い方法については、国際配送されて、自宅の玄関で配達員から商品を受け取る時に関税を支払います。
商品を受け取るタイミングで、配達員に対して関税を支払うことで、日本税関に関税を納付することができます。
上記の支払い方法は個人利用目的で海外のお店から個人輸入している場合の、関税の支払い方法です。
関税の支払い方法は、個人利用目的で海外のお店から個人輸入しているのか、商業目的で輸入しているのかによって異なります。
関税が請求されるまでの流れ
関税が請求されるまでの流れについて、日本郵便を利用して輸入する場合と民間配送会社を利用して輸入する場合をそれぞれご紹介します。
関税の支払い方法はどちらの場合も同じです。
日本郵便を利用して輸入する場合
- 税関職員が輸入書類を確認する
- 税関職員が商品ごとに課税される関税を決める
- 日本郵便が関税を立て替えて支払う
- 配達員を通して関税を支払う
民間配送会社を利用して輸入する場合
- 民間配送会社が税関に代理で申告する
- 民間配送会社が関税を立て替えて支払う
- 配達員を通して関税を支払う
このように日本郵便であっても民間会社であっても、税関で関税を立て替えて支払いをしていて、商品を受け取った時に立て替えてもらっていた関税を支払います。
海外通販・個人輸入の関税具体例
海外の商品を輸入した時にかかる関税について、具定的な例を2つ使ってご説明します。
上記でご紹介したように、関税を求める式は以下のようになっています。
課税対象額 = 商品代金×60%
関税額 = 課税対象額×関税率
では2つの具体例を見てみましょう。
11000円相当の子供服を個人輸入時の関税
課税対象額の合計が10,000円以下の場合は免税となり、商品代金16,666円までは免税対象となります。
11000円相当の子供服を輸入した場合には関税はかかりません。
80000円相当のジャケットを個人輸入時の関税
80000円相当のジャケットだと商品代金16,666円を超えているので関税はかかります。
また課税対象額が20万円以下で簡易税率が適用されるので、先ほどの表から衣類の税率は10%になります。
80000円相当のジャケットを輸入する場合には
課税対象額= 80000×0.6(60%)=48000円
衣類の税率は10%なので
関税額 =80000×0.1(10%)=4800円
となるので、80000円相当のジャケットに課せられる関税は4800円となります。
個人輸入の関税:よくある質問と答え
個人輸入する時にかかる関税について、よくある質問とその答えをQ&A形式で以下にご紹介します。
A.
個人輸入した際に課税される輸入税には関税の他に、消費税、酒税などの税金があります。
– 関税:日本の産業を守るために、外国から輸入されるものに対して課せられる税金です。
– 消費税:日本国内のスーパーなどで商品を買った際に課税される税金と同じで、海外から商品を購入した場合も課税されます。
– 内国税:酒税・たばこ税など、特定の商品に対して課税される税金です。
A.
課税対象額(商品価格×0.6)が1万円以下である場合は、関税・消費税ともに課税されません。
しかし例外となる商品もあり、以下のような商品は例外となります。
例外商品:皮革製バッグ、革製手袋、編物製衣類(Tシャツ、セーターなど)履物、革靴など課税対象額が1万円を超えていて、20万円以下である場合には、関税と消費税が課税されます。
関税率が0%である場合は消費税のみ課税されます。
A.
関税は商品の素材、加工の有無、用途、原産国などによって大きく異なっています。
それぞれの商品がとても細かいカテゴリに分類されています。
例えばTシャツの場合には以下のような項目で分類されていて、どんなTシャツかによって税率が異なります。
– 原産国
– 素材
– 織りの方法
– 単色か多色か
– 刺繍・レースなどの装飾があるか
革靴は日本で「高額関税」の対象商品となっていて、1足につき「4300円もしくは商品価格の30%のどちらか金額の高い税率」が課税されることになっています。
主な商品の個人輸入の際にかかる関税率については、税関のサイトでご覧ください。
商品がどのようなカテゴリに分類されているのかは、実際に税関で商品を見て判断する必要がある場合もあります。
A.
個人利用目的で海外のお店から個人輸入する場合の、関税の計算方法についてご説明します。
課税対象額が1万円を超えていて、20万円以下である場合の関税の計算方法は以下の通りです。
計算方法:関税額=課税対象額 ×関税率
例:250ドルの商品を購入して、関税率 が10%である場合
課税額=(250×0.6 )×10% = 15ドル
A.
関税の金額は、同じ商品であっても、その日の為替レートによって関税額や消費税額が変動する場合があります。
同じ価格の同じ商品であっても、関税や消費税の金額が同じとは限らないのです。
輸入する時点での輸入品にかかる税金を知っておかないと「考えていたよりも大幅に高い金額になってしまった」ということになりかねません。
海外の商品を日本へ個人輸入する場合には、毎回課税される関税の金額について調べて、購入する前に計算しておくことをおすすめします。
代行業者を利用した場合の関税はどうなるのか
個人輸入の代行業者を利用した場合の関税についてご説明します。
通常の個人輸入の場合は商品を受け取るタイミングで配達員に対して関税を支払うとご説明しました。
これに対して、代行業者を利用した場合の関税の支払い方法は、通常の個人輸入の場合と少し異なってきます。
代行業者に商品の購入や配送を依頼する場合には、2つのパターンに分かれていて、パターンごとに関税の支払い方法が異なります。
海外のお店から直送されるパターン
海外のお店で代行業者が代理で商品を注文する時に、お届け先を「依頼者」とした場合には、海外から依頼者へ商品が直送されることになります。
この場合は代行業者に依頼した依頼者が輸入者となります。
一般的な商品の輸入であれば、自宅へ商品が届いた時に配達員に対して関税や消費税を支払います。
代行業者を経由して配送されるパターン
代行業者が海外のお店で商品を注文する時に、お届け先を「代行業者」とした場合には、海外のお店→代行業者→依頼者という流れで商品が配送されます。
この場合は代行業者が輸入者となります。
代行業者が輸入者となった場合は、はじめに代行業者が関税や消費税を支払って立て替えます。
その後に、代行業者は依頼者に対して国内配送料金 や関税、消費税を請求します。
依頼者がこれらの合計金額を入金して、代行業者が入金を確認すると、依頼者へ商品が発送されます。
そのため、このような場合には、自宅へ商品が届いた時に配達員に対して関税や消費税を支払う必要はありません。
すでに代行業者に対して国内配送料金 と一緒に関税や消費税を支払ってあるからです。
まとめ
ここでは海外通販で個人輸入をする時にかかる関税について解説しました。
関税は商品の種類や国、目的などによって金額が異なります。
また免税措置や簡易税率など、商品の合計金額によっても変わります。
関税は難しく思えるかもしれませんが、ルールや計算方法をチェックしておけばいくらになるのかちゃんと把握できますよ。
海外通販でお得にお買い物をする時には、ぜひここでご紹介した内容を参考にして関税がどのくらいかかるのか確認してみてください。